北海道唯一のアントニン・レーモンドによる建築
2024.06.28
先月の休日に札幌に行く機会がありました。
せっかく札幌に来たので近くにある建築を見ようと思い、
急遽訪ねたのがアントニン・レーモンド設計の「札幌聖ミカエル教会」です。
竣工は1960年、北海道で唯一現存するアントニン・レーモンドによる建築です。
アントニン・レーモンドはチェコ出身の建築家で、
帝国ホテルの設計のためフランク・ロイド・ライトに同行して来日しました。
その後、日本に留まり数多くのモダニズム建築を残し、
前川國男、吉村順三、ジョージ・ナカシマなどの日本人建築家がアントニンレーモンドの下で建築を学びました。
屋根のシルエットが特徴的で、エントランス部分の丸太や石にはどこか日本らしさも感じます。
ガラスに貼られた和紙のデザインを手がけたのはアントニン・レーモンドの妻ノエミ夫人です。
扉を開けると、想像していたよりもずっと穏やかで温かみのある空間が広がっていました。
教会に行った経験があまりないため背筋が伸びるような緊張感のある空間を勝手にイメージしていたのですが、
良い意味で予想外でした。
天井の小屋組はシンプルながらもデザイン性があり、堂々とした雰囲気です。
トドマツの丸太を使っており、レンガ、砂利なども北海道の素材で作られているそうです。
スリット窓や和紙を通して柔らかくなった自然光が教会全体をふわっとした明るさで包んでおり、
使われている素材の美しさが際立っていました。
礼拝がない日だったので他に見学している人はおらず、
教会に漂う優しい空気感とゆったりとした静けさをひとり占めしました。
今度は季節を変えて雪の積もる時期にも訪れてみたいです。
nagakawa